※現代パロ
※幼なじみ設定
アリババの金糸の髪が風に揺れるのを、アラジンはぼうっと眺めていた。
金が空の青に溶けているかのように見える。
「でーきた!」
ジャーンという効果音と共にアラジンの前に差し出されたのは、終わったばかりのテストの問題用紙から作られた紙飛行機。
出来映えに満足そうに頷き、アリババは立ち上がる。
風に逆らった髪が乱れたが、アリババは気にせず、右手のスナップで紙飛行機を空へ送り出す。
そのまま右手でひさしを作り、上手く風に乗って飛んでいく紙飛行機を見送った。
アラジンは紙飛行機をちらりと見たきり、風に舞う金へと視線を戻す。
見慣れているはずなのに、何故か吸い寄せられる心地がする。
ふと、こちらを振り向いたアリババと目があった。
「何ぼーっとしてんだよ。どうかしたのか?」
再びアラジンの前に腰を下ろし、アリババは訝しげに幼なじみを見る。
アラジンは何でもないと首を横に振る。
「アリババくんの髪が綺麗だなあ、と思って」
「かみ?」
長い付き合いだというのに、未だに次の言動が予想できないこの幼なじみの言葉に、アリババは一瞬意味を掴みかねた。
そして、アラジンの視線が自分の髪に向けられているのに気づき、その金のつまんでみせる。
「これ?」
「うん」
アリババは、指で髪をいじりながら上目使いでアラジンが褒める自分の髪を見る。
「俺はお前の髪の方が綺麗だと思うけど」
「僕の方が?」
驚いて、顔の横で揺れる青を目の前に持ってくる。
それをしげしげと眺めてから、アラジンは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「でもやっぱり僕はアリババくんの髪の方が綺麗だと思うな」
だって大好きな君の色だから。
理由を心の内で止めておきながら、アラジンはアリババも同じ理由だといいな、と思った。
拍手お礼のボツ。
(10.04.07)